東京の「実質家賃」はニューヨークを超えた——年収比で見る住居費の絶望的データ

「東京は世界的に見れば家賃が安い」——この定説を覆すデータがある。名目家賃ではなく、年収に対する住居費比率で比較すると、東京は世界で最も住居費負担が重い都市のひとつだ。

年収中央値に対する住居費比率

東京23区の1LDK平均家賃は約14万円(2025年データ)。一方、東京の給与所得者の年収中央値は約420万円(手取り約330万円)。住居費比率は手取りの50.9%に達する。ニューヨーク・マンハッタンの同比率は約42%、ロンドンは約45%。東京は「安い」のではなく、「年収が低すぎる」のだ。

10年間のトレンドが示す危機

2016年から2026年の10年間で、東京の平均家賃は約28%上昇した。同期間の平均給与上昇率は約8%。差し引き20ポイントの乖離は、毎年着実に生活を圧迫している。特に20代単身者の住居費比率は55%を超え、貯蓄率はマイナスに転落している世帯も多い。

「家賃が安い郊外に住めばいい」の嘘

通勤時間のコストを金銭換算すると景色が変わる。片道1時間の通勤を時給2,000円で計算すると、月間約8.8万円の「見えないコスト」。郊外の家賃が3万円安くても、通勤コストを含めると実質的には高くつく。さらに、通勤時間の増加は睡眠時間の減少、健康リスクの上昇と相関する。

国際比較で見る日本の異常

先進国の多くは、住居費比率が30%を超えると「Housing Cost Burden(住居費負担過重)」と定義する。東京の50%超はこの基準を大幅に超えている。にもかかわらず、日本の住宅政策は持ち家優遇に偏り、賃貸居住者への支援は先進国で最低水準だ。この構造的問題を、データは冷徹に映し出している。